遺族年金改悪?改正の内容と注意点

マネー&ライフ

 最近、年金関連の話が頻繁に登場してますね。年金改正法が閣議決定されたので、いよいよ年金改革が現実味をおびてきました。
 あまり話題にならないですが、遺族年金の改正も含まれておりSNS上では「遺族年金5年で打ち切り!?」など不安を煽るようなコメントが多くありました。
 今回の記事では、「そもそも遺族年金ってどんな制度なの?」「今回の改正で何が変わるのか?」「私たちが注意すべきことは?」をまとめています。
 ぜひ、最後までお読み頂いて改正の内容を知り、何をすべきか考えていきましょう。

遺族年金とは?

 遺族年金は一家の大黒柱に不幸があった際に、残された家族の生活を支える制度です。国が用意してくれる死亡保険のようなもので、”遺族基礎年金”と”遺族厚生年金”の2種類あります。


 まず、遺族基礎年金は、国民年金に加入している”子どもがいる”家庭への支援です。父母どちらかが亡くなった場合、子どもの養育費を支援するという制度です。そのため、子どもがいないと支給はされません。また、保険料納付期間が全被保険者期間の3分の2以上あることが条件です。
 金額は、老齢基礎年金の満額831,000円+子加算。子加算は2人目まで234,800円/人、3人目以降は78,300円/人となります。仮に配偶者+子ども2人の家庭の場合は、年間1,285,600円が支給されます。
 ただし、支給は子どもが18歳になる年度末までとなります。また、配偶者が再婚した場合は支給が止められます。

 次に、遺族厚生年金です。基礎年金とは異なり対象者が厚生年金に加入している会社員、公務員となります。死亡した人に生計を維持されていた家族が支給対象となりますが、遺族基礎年金に比べ支給対象が広がります。優先順位は①子・配偶者、②父母、③孫、④祖父母の順番となります。
 金額は老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3に相当する額。これは厚生年金の納付金額によって異なります。
 遺族厚生年金は複雑な条件があります。例えば、妻を亡くした夫は55歳以上でなければならない。また、夫を亡くした妻は30歳未満であれば支給期間は5年間、30歳以上であれば無期限に受給することができるなど年齢は性別により条件が設けられています。
 これは「男は仕事、女は家事」を昔を象徴するような家庭を支援する設計になっており男女差別だと声があがっていました。

 そのため今回の改正で遺族厚生年金の条件が変更されます。

今回の改正の内容は?

 結論から言うと、人によって良し悪し分かれる制度改正です。その中でも最も影響を受けるのは「結婚をしていて、子どもがいない37歳以下の女性」となります。

生涯給付から5年間しかもらえなくなる

 SNS上で話題になったのが、この点ではないでしょうか。年齢、男女問わず遺族厚生年金の受給期間が5年間のみの有期給付に変更されます。これまで30歳以上の女性であれば、旦那さんが無くなった場合は遺族厚生年金は生涯給付されていましたが、これが5年の有期給付に変わるということです。これは専業主婦の方は影響出ますよね。一部メディアではこの改正を「遺族年金2,000万円減額!」と不安を煽った報道もなされていました。ただ、段階的に見直され最終的に2048年にこの形になるようです。現在受給している方や子どもがいる家庭も変更がないため、あくまでもこれから子どもがいない37歳以下女性は改悪という話です。

 また、今回の改正では収入制限(850万円)の撤廃、男性の年齢制限の撤廃など緩和処置もとられており、高所得の女性や男性にとっては良い改正となっています。特に男性は55歳以上と、ほぼ受給不可能な制度設計でしたので、男性にとっては朗報と言っていいのではないでしょうか。

中高齢寡婦加算の段階的な廃止

 中高齢寡婦加算とは①40歳以上65歳未満の子どものいない妻、②40歳以上65歳未満で遺族厚生年金を失権した妻が対象となります。要は女性は年齢が上がると就業先を見つけるのが困難だろうから加算して支給しますよというものです。現行制度では612,000円が加算されていました。
 この中高齢寡婦加算も段階的に廃止され、2048年には廃止されるようです。

 遺族厚生年金の短縮と中高齢寡婦加算の廃止は、夫の稼ぎに頼る専業主婦にとっては非常に痛い話です。

死亡時分割

 亡くなった方の厚生年金の一部を自分の年金に加算できる。厚生年金の払い損に対応する。

これから注意するべきことは?

保険会社の巧みセールストークに引っかからない

 遺族年金に頼れる期間や金額が大幅に減ることになり、この不安を煽るのが保険会社です。特に結婚したばかりの夫婦は子どもがいないため、制度改正を切り口に死亡保障が高い生命保険をおすすめしてくることも想定されます。闇雲に保障が高い保険に入るのではなく、必要な金額必要な期間の保険に入ることが必要です。
 また、今回の改正で女性にかけている保険内容を見直しことも大事になります。夫が受給するハードルが各段に下がったため、遺族厚生年金(5年間)受給できることになります。

 そもそも保険というのは万が一不幸が起こった際に、生活が困窮することに備えるものです。改悪されたとは言え日本の社会保険制度は非常に充実しており、必要な部分だけを民間の保険で備える程度で充分ではあります。

まとめ

 女性の就業率が上がっている現代にマッチしない部分もあり、改正に関して反対意見はそこまで出なかったように思います。ただ、親の介護などで働きたくても働けない方も当然いるので、必要な人には必要な社会保障が届いてほしいと思います。
 一方で、働く余力のある人にはこれを機に自分でも稼げる体質を作っておく必要があると思っています。旦那さんの収入に依存しすぎると不幸があった場合に生活が困窮しますし、年をとればとるほど自分のとれる選択肢が少なくなり、より相手へ依存度が高まってくると思います。

 今回の制度改正を機に、今の自分に何が必要なのか考えることも必要だと思いました。

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