定額減税って何だ?

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政府による所得税と住民税の定額減税が6月から開始されます。

6月から定額減税が始まるけど、実際どれぐらいお得になるの?

特に給与所得者の場合は、特段の手続きも必要ないため、イマイチ実感が湧きません。今回は定額減税の仕組みとどれぐらい恩恵があるのかを解説していきます。

定額減税って何?

定額減税は一人あたり所得税が3万円、住民税が1万円のあわせて4万円が減税される制度です。本来課せられる税金が減額されるため、手取り額が増えることになります。

定額減税は、デフレからの脱却につなげる目的で開始されました。物価高に賃金の伸びが追いついていない状況が続く中で、まずは春闘で大幅な賃上げをして、給与に反映される6月に減税を行う。それを消費に回してもらい、経済の好循環を生みだす。これが政府が当初描いていたシナリオです。

尚、給付ではなく減税としているのは、

賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和するには、国民の可処分所得を直接的に下支えする所得税・個人住民税の減税が最も望ましいと考えられたためです。

どの自治体も給付ではない理由は、同じ文言が使われているため統一されているのでしょう。一説にはコロナ給付金の際に各自治体の負担が相当なものだったからという説もありますが、減税の場合は企業の負担が増すので、負担という意味では大差ないような気もします。

対象は納税者本人と生計をともにする扶養家族です。例えば、配偶者と子どもがいる3人家族の場合は4万円×3人で年間12万円、配偶者と子どもが2人いる場合は4万円×4人で年間16万円減税されます。ただし、所得制限が設けられており、ボーナスを含む給与収入が2000万円を超える人は対象外となります。対象外の人も一度減税され、確定申告の際に返還することになります。

扶養している人数が多く、12月までに減税しきれない場合は、住んでいる市町村から調整給付金が支給されます。また、住民税の非課税世帯などの低所得者層は、減税の恩恵を受けないため1世帯あたり10万円の給付があります。そのため、今回の定額減税では①減税のみ、②減税+給付、③給付のみの3パターンに分けることができます。

手取りは一時的に増える

会社員や公務員のような給与所得者の場合は、早ければ6月に受け取る給与やボーナスから反映され、個人事業主の場合は2025年2月~3月の確定申告時に減税されます。所得税の納税額が大きく予定納税をされる方は、そのときに減税されます。

そして、この定額減税をわかりにくいのが、所得税と住民税で減税方法が違う点です。

まず、所得税は6月分の給与から控除が始まります。6月の所得税が減税額の3万円より少ない場合は、7月以降の給与から順次残りの減税分が差し引かれます。所得税は累進課税のため一概には言えませんが、単身者の場合は年内には減税が終わると思われます。所得税の減税方法はシンプルですね。

次に、住民税は6月分が徴収されません。そして年間に収める住民税の金額から年間の減税分を差し引いた残りを、11カ月で割って均等して納付することになります。住民税は前年の所得をもとに今年6月~来年5月に支払いますが、対応が間に合わわずこのような形になったようです。所得税と比較して、住民税の減税は非常にわかりにくいですね。

結果的に、単身者の場合は手取り金額が増えたように感じるのは所得税と住民税の減税額が大きい6月、7月の給与だけで、以降は手取りが微増した程度のような気がします。

減税額の確認方法は所得税は給与明細、住民税は住民税決定通知書の概要欄になります。政府は人々に手取りの増加を実感してもらいたいという考えのもと、企業に対して所得税の減税額を給与明細に明記するよう義務付けました。減税額を給与明細に明記してもらうことで、人々に手取りの増加を実感してもらいたいという考えのようです。住民税の確認方法は6月頃に受け取る住民税決定通知書の「摘要欄」に控除額が記載されるようなので、確認した方がいいですね。

「定額減税で消費」働く世代の2割

定額減税で、一時的に収入が増えて何に使うのか?

そんな疑問のアンサーが日経MJにありました。トヨタ自動車のサブスクKINTOが実施した2024年「クルマとお金」に関する意識調査をもとにした記事です。

調査によれば、働く世代のうち定額減税分の4万円を「消費に回す」と回答したのは2割に留まり、「貯蓄」「どちらかというと貯蓄」と回答した人の合計は6割近くになったそうです。貯蓄派が考える定額減税の将来的な使途は「緊急時の備え」が最も多く、次いで多かったのが「退職後の生活資金」となっています。

これは私も同感です。4万円手取りが増えましたとなっても、消費しようとはなりませんでした。物価が高騰している状況下で楽観視はできませんよね。

まとめ

定額減税により手取り金額が増えることは間違いありません。やらないよりはやった方が当然いいです。ただ、なぜ減税にこだわったのか疑問に残ります。

やはり、定額減税の恩恵が非常にわかりにくい。実際、私も6月7月の給与から所得税、住民税が控除されましたが、「手取りが少し増えたな」程度にしか感じることはできませんでした。そのため「消費にまわそう」というマインドにはならず、我が家も「どちらかというと貯蓄」になってしまいました。

結局は政府が何を目的としていたのかに尽きますね。目的がデフレ脱却ならば、4万円給付の方が消費を促せるような気がしますし、物価高騰が続く状況での家計支援を目的とするならば、定額減税のように月々の収入を増やした方がいいような気がします。

自治体や民間企業の一部の人には相当な負担をかける割に恩恵を感じない、そんな定額減税だったように思われます。消費税を減税した方がデフレ脱却、家計支援どちらにも繋がるじゃないかと思う今日この頃です。

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