なぜドル建て保険がお得に感じるのか?

マネー&ライフ

結婚したら保険、子どもが生まれたら保険。保険は人生の節目に必ず検討しますよね。

保険はあまり馴染みがないため、気軽に相談できる保険代理店や銀行を通して契約することが多いと思います。そこで、必ずと言いほど提案をされるのがドル建て保険です。

「窓口が良い人だったので、よく検討せずに保険に入った」「保険も貯蓄もできてお得な商品」

一方で「ドル建て終身保険はおすすめしない」という意見もあります。

この記事では、私の経験をもとにドル建て終身保険の注意点をまとめてみました。契約前にこの記事を読んで、検討材料にしてください。

実は、私も以前ドル建て終身保険に加入していました。

本題に入る前に、私は以前ドル建て終身保険に加入し、数年後に解約した経験があります。

子どもが生まれるのを機に「私の身に何かあった時に不自由させたくない」と思い、某保険代理店に相談しに行きました。保険代理店の担当者が相談しやすく好印象だったため、勧められるがまま、夫婦ともにドル建て終身保険に加入しました。

しかし、数年後。YouTubeの某チャンネルで「ぼったくり保険」と罵られている動画を視聴したのを機に解約の手続きを行いました。

解約を申し出ると、保険代理店の担当者はあっさり解約手続きを進めてくれました。後々調べると、保険代理店にも解約のペナルティ期間があるらしく、私の契約は既にペナルティ対象外。担当者からすれば痛くも痒くもないですね。

この文体からわかる通り、私はドル建て保険にいい印象を持っていません。

そして、懲りずに保険代理店に相談する。

時は過ぎ、我が家には児童手当をどう使うかという新たなお金の問題が出てきました。先々必要な教育資金として貯金しているのですが、低金利の貯金でお金を寝かせておくのは勿体ない。だけど、高リターンを狙ってボラティリティが高い商品を買うのも躊躇される。

そこでFP無料相談に釣られ、懲りずに某保険代理店に足を運びました。

担当者さん曰く「児童手当だけでは必要な教育費が賄えず、早めに運用した方がいいですよ」と助言され、「住友生命「ふるは~とグローバルⅢ」ドル建てを提案頂いた。

私も保険の闇を知っている身として、内心「やっぱりドル建て終身保険を提案してきた。全く信用できん。」と落胆したのですが、満期後にはお金が増えるシミュレーションを提示されると「やっぱり良い商品なのかな?」と感じてしまいました。

保険と貯蓄の両方備えるって一石二鳥じゃん。

改めて整理すると、終身保険は保障が一生涯続くタイプの保険です。万が一本人(被保険者)に不幸があった場合死亡保険金が支払われます。また、解約時に解約返戻金があり、貯蓄性が高い商品のため、最近では学資保険、老後資金の蓄えに利用されることが多いようです。

ドル建ては保険料の支払いや解約返戻金、死亡保険金が米ドル建てになっている生命保険で、ドル建ての魅力は予定利率の高さになります。予定利率とは、予め保険会社が契約者に対して約束している運用利回りです。予定利率が高ければ大きな運用収益を見込めるということになり、円建て保険と同じ保障内容でも保険料は割安で、解約返戻金は高くなります。そのため、金利が高いドル建ての方が効率良く資産を増やせる可能性があります。

保障があり、お金も増える。まさに一石二鳥の商品に思えます。

やっぱり、ドル建て保険はオススメしない。

私は、やはりドル建て保険はおススメできないという結論にたどりつきました。それは保険としても、貯蓄としても中途半端だからです。

まずは、保険として中途半端な理由を説明します。

果たして、一生涯の保障が必要なのか

保険の原則は「必要なときに、必要な保障」です。万が一、不慮の事故があって困るのはいつなのか検討するべきです。

例えば、我が家は妻と小学生、幼児の4人家族です。最低限のお金が必要なのは、子どもが自立するまでの生活費、教育費で残り20年弱です。そのため、私の身に万が一のことがあっても、子どもが自立するまでは困ることのないように備えておきたいです。ただ、子どもたちが自立した後は、手厚い保障は必要ないと思っています。死亡保険金があるにこしたことはないですが、妻も働いているため、今の生活を圧迫してまで保険金を払う必要はないと思っています。

もちろん全ての家庭に当てはまることではありません。我が家の場合は、一生涯の保障は必要なく、必要な期間だけ掛捨保険で十分だと思っています。

次に、投資として中途半端な理由を説明します。

投資効率が非常に悪い

コストが高い

長期投資は、いかに運用コストを抑えて投資にまわすお金を多くするかが重要となります。NISAで人気の投資信託のe-maxisシリーズが人気なのは、手数料が非常に安いからです。管理費用に当たる信託報酬は業界最安値水準で、購入時手数料や信託財産留保額もかかりません。

一方、ドル建て保険は運用手数料、為替手数料、解約控除など各種コストが発生するため、投資効率が非常に悪くなります。特に運用手数料は諸悪の根源です。

保険会社が事業を運営するため、契約者は保険料の一部から付加保険料を負担しています。契約に必要な経費、契約を維持管理するための経費など諸々の経費となります。この付加保険料に代理店に支払う手数料も含まれており、諸説では7%~9%と言われています。諸説という言い方を使っているのは、開示義務がなく各社公表していないからです。本当に10%弱の手数料が発生しているのであれば、投資信託よりも圧倒的にコスト高となり、長期投資には不向きです。

保険代理店や銀行は「経済成長率が高い米国への投資がお金を増やす投資先として安全だ」として商品を勧めてくるでしょう。もちろん、そういった誘い文句は必ずしも間違いではありません。しかし、金融機関の収入を増やすために高い手数料をとれるドル建て保険を案内するのが本音でしょう。日銀がマイナス金利を導入し、銀行各社が低収益もなったことで、拍車がかかったのも納得できます。

諸々のコストは別途に払うものではなく、保険料から差し引かれるため費用負担の実感がわきにくいです。どういったコストがかかるのかは事前に確認が必要です。

元本割れの可能性がある
為替レートの変動

保険料の支払い、保険料の受け取りをドルで行うため、ドル円の為替レートの影響が大きくなります。1ドルの値段が安い時(円高ドル安)に保険料を支払い、1ドルの値段が高い時(円安ドル高)に保険料を受け取るとプラスになります。反対に、円安ドル高の時に保険料を支払い、円高ドル安の時に保険料を受け取るとマイナスになります。

例えば、5,000ドル積み立てた場合、1ドル=110円であれば55万円、1ドル=100円であれば50万円、1ドル=90円であれば45万円となります。

長期投資であれば為替リスクも緩和できますが、教育資金のように決まったタイミングで解約する場合は為替変動リスクを吸収できず、タイミングが悪ければ大きな損失を出す可能性があります。そのため、学資保険代わりにドル建て保険を加入する方は危険です。

市場価格調整を適用する

市場価格調整は、市場金利の変動により解約返戻金の増減が発生するということです。例えば、保険会社は預かった保険料で長期国債を購入し、解約する場合は国債を売却してお金を返すことになります。解約するときに市場金利が上がっていた場合、買い手がつきにくいので、価格を下げて売却することになります。その結果、解約返戻金が減るということになります。反対、解約するときに市場金利が下がっていた場合、価格を上げて高く売ることができ、解約返戻金が増えることになります。

つまり、解約時に金利が上がっていれば損失が出て、金利が下がっていれば増加する。市場価格調整は市場金利のリスクを契約者が負担するということです。

契約時に説明を受けるとは思いますが、為替に比べ金利は身近な話ではないため、複雑で忘れがちですよね。

結局は、掛け捨て保険とNISAで十分です。

やはり、ドル建て保険は保険・投資ともに中途半端な商品だと思います。一生涯の保障はいらず、高コストのため投資効率も悪い投資先になるからです。事実、金融庁の発表では、ドル建て保険契約4年後に60%が解約しているとされており、「顧客本位になっていない」商品とされています。

保険は掛け捨て、投資はNISAで投資信託を購入する、リスクをとりたくなければ自分で米国債を購入することで代替可能です。残念ながら、一部代理店は手数料を稼ぐためにドル建て保険を案内してきます。自分の頭で考えて、資産運用していきましょう。

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